平成22年度 国頭地区社会教育委員等研修会

学振

2011年03月28日 11:48

3月23日(木) 宜野座村中央公民館にて
平成22年度国頭地区社会教育委員等研修会を開催しました。


今回の研修会で平成22年度の研修会は終了です。
年度末の多忙な時期に、30名ほどのみなさんにご参加いただきました。
次年度以後につながる研修会となっていましたら幸いです。

文末のアンケート結果もどうぞご覧ください。

【趣旨】
「社会教育委員として何をすべきか」について、改めて考える場とし、具体的に実践している例も踏まえ、これからの社会教育の諸課題に対応すべく、実際生活に関わる、各自のそれまでの経験、活動の活かし方を考える機会とする。

講演
講師:津留 健二氏 沖縄女子短期大学客員教授 
演題:『社会教育委員活動への期待~新しい時代にどう対処するか』

津留先生に事前にいただいていた講演要旨は以下の通りです。
要旨:教育基本法の改正を受けて、新しい時代に即した教育が展開されている。本県においても、本県「教育の目標」を改め、「沖縄21世紀ビジョン」の下、新しい「沖縄県教育振興基本計画」や「第三次沖縄県生涯学習推進計画」の策定作業が進められている。このような時にあって、家庭や地域の教育力の低下が大きな課題となっている。これらの地域課題の解決に当たっては、社会教育委員活動への期待が大きい。新しい時代を迎え社会教育委員として具体的にどう対処するかを共に考えたい。


【内容】
平成23年度に開催される九州ブロック社会教育研究大会沖縄大会のテーマである
「教育新時代に対応する社会教育」に触れ、
教育“新”時代とはなにかということがわからないと、
それに対応する社会教育は構築できないのではないかと述べた。

その上で、同大会サブテーマである
「新しい公共の観点に立ち、地域の特性を活かした地域コミュニティの形成と社会教育の役割」
について、「時代認識の共有」という観点から、
戦前・戦中の「貧しさに処する教育」から、
戦後に物があふれた「豊かさに処する教育」へと時代が変化したことを説明した。
また、現在は「過剰な豊かさが生む貧しさ」があるとし、
日本の国民が享受している豊かさを全世界が受けるようになったらどうなるかと、
地球は崩壊してしまうだろうという新聞記事を紹介し、
一部の人しか享受できないような豊かさであれば、
普段の生活を見直さなければいけないと述べた。

ここで教育“新”時代の芽生えが出てきているのではないかと述べ、
過剰な豊かさが生んだ新しい貧しさにいかに処するか問われている時代だとした。

これからの時代にふさわしい教育の構築のために、
日本の教育は、中曽根総理時代に当時の文部省の諮問機関である中央教育審議会から
臨時で審議会を作り
①個性重視の原則
②生涯学習体系への移行
③変化への対応
という改革を行った。

そして2001年に文部科学省になり「21世紀教育新生プラン」を作成した。
阿部内閣の時は教育再生会議が開かれ、今日に至るという流れを示した。

社会教育に携わる人は教育基本法を熟知する必要があると述べ、
例えば社会教育では家庭教育を重視しているし
沖縄県としても学力向上対策に力を入れている。
それは社会教育の分野からいえば家庭教育の影響が大きいとし、
家庭教育で取り組むべき以下3点を紹介した。
①港づくり(家庭の人間関係づくり)
②健康づくり(体、心の健康→口の点検、何を食べているか何を言っているか)
③未来づくり

また、学校における地域連携室等、
地域の人やPTAが学校に入りやすい場の設定を進める動きも紹介し、
津留先生自身が学校に茶道を普及させる活動をしていることもあわせて紹介した。
社会教育がいかに学校の施設を利用していくかということはとても大切なことであると述べた。

社会教育委員の役割が定められていながら機能していない点について、
大事なのは自発的意思による実践力と「つなぐ」役割が期待されているのではないかと述べた。

やらされているのではなく、
みずから地域貢献をやるという「行動する社会教育委員」
でなければならないのではないかと思う。
それぞれの活動はなさっているがそれをいかにつないでいくか、
学校と社会をどうつなぐのか家庭と学校をどうつなぐのか
そういうことが問われているのではないかとした。

また、研修等に「参加する人はする、しない人はしない」という
社会教育委員の現状についての質問に対し
「各市町村の任命の仕方もあるが、任命したらすぐに社会教育委員の役割について、
また地域の共通の課題を認識する研修を開催する必要がある、
それを求める声も多く聞いてきている」と述べた。

まとめとして、
政府に予算をつけなさい、とか、
県に何かやりなさいと要求することはもう出来ない時代になっているのではないかと考える、
阪神大震災のときもそうだったが
今回の東北・関東の震災にもボランティアで駆けつける若者がたくさんいると聞いている。
身近なところに仕事を見つけ出してやる必要がわたしたちにはあるのかもしれない
という言葉で締めくくった。


◆今回の研修内容はいかがでしたか?
【社会教育委員】
・講演は良かった。話の基になる講義であった。
・社会教育委員は名誉職なのか?どんな活動が出来るのか?常に思っていた。今日の講演を聞いて全県的に社会教育委員の活動は不活発である…納得した。しかし任命されたからには名誉職ではいけないと思う。身近な家庭教育の問題から少しずつ取り組めたらと思う。
※過剰の豊かさから生まれる心の貧しさ、物質的な貧しさがこれからの課題だと思う。支え合える社会づくりが出来れば…
・教育基本法(抜粋)においての教育の目的及び理念を学べて良かった。
【社会教育主事】
・社会教育委員の役割等が分かり、為になった。
・国頭地区での開催で参加しやすかった。
・講師の話もわかりやすくて良かった。
【その他】
・津留先生のお話は「社会教育研究大会ちらしに始まり新教育時代に対応する社会教育」など本当に勉強になるものでした。特に、青少年教育施設が地域とどうつながるかカヨウ地区の亀の飼育の話など、話を聞いて取り組もうと鼓舞する内容でした。ありがとうございます。
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◆次回の研修はどういう内容を希望しますか?またお呼びしたいと思う講師がいらっしゃいましたらお書き下さい。
【社会教育委員】
・是非、講演も入れて欲しい。
・防災、防犯に関する講演(今年の震災で考えさせられた)
【社会教育主事】
・次回はグループ形式でやっても良いと思う。
・社会教育委員の活動事例紹介。
【その他】
・背戸博史琉大准教授の社会教育委員などは実際どのように取り組めばいいかなどの内容を聞いてみたいです。
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◆ご意見、ご要望
【社会教育委員】
・共有する話題が多かった。
・家庭教育=家庭の役割
① 港づくり ②健康づくり ③未来づくり
特に健康づくりの中で口の観察、食と言葉、考えさせられました。
・参加者が少ないのにびっくりです。社会教育委員複数人の中、参加者が私一人とはどうしたことでしょう。
勉強になる研修なのでもっと参加する方が増やせないものでしょうか。
【社会教育主事】
・市町村の議会中の為、参加者が少ないのでは?年度末の開催は参加するのが難しい。(時期的に)
【その他】
・城間教育長のお話にありますように国頭地区の社会教育の一層の振興に力を入れるべきと思いました。



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