平成22年度 第61回九州地区公民館研究大会 沖縄大会が開催されました。
まず1日目、分科会からスタートです。
私は第4分科会に参加しました。テーマは「成人教育」。
会場は那覇市中央公民館でした。
ざっと見渡して、50名ほどの方が参加されていました。
○討議のテーマ
生涯の各時期の学習ニーズ及び豊かな人間性の育成に対応した公民館活動の在り方
○討議の柱
①幅広い年齢層のニーズに応じた学習提供と活用の在り方について
②住民が地域課題を解決する学習活動と意識改革への関わり方について
・・というわけで
事例発表が行われました。
同じ「公民館」と言えども、県ごとに仕組みも構造も違い、
また、課題も規模も異なることを改めて感じました。
しかしながら、お互いの状況を知りあうことによって
参考に出来る部分や、アドバイスできる部分があることもまた
改めて感じました。
司会は沖縄県沖縄大学人文学部 教授 宮城能彦さん。
◆事例発表①
鹿児島県鹿児島市吉田公民館 主査の松永貢さんより
公民館講座で広がる学びの輪~魅力ある学びの場づくりを目指して~
と題し、
鹿児島市の公民館での講座の工夫、課題、成果等が発表されました。
鹿児島市には78の小学校区があり、
これを14の地域公民館で分担しているため、
学校施設を使えるというメリットがある
という点は、沖縄県とは違う特徴があるようでした。
講座で学んだ受講生が自主学習グループの会員となり
継続して学習している人も少なくないことや、
鹿児島市14の地域公民館では、自主学習グループ生が、
学習の成果を活かして講師を務める講座
「市民はつらつ得意技講座」を2講座ずつ開設していることなどが
成果として報告されました。
◆事例発表②
沖縄県読谷村教育委員会生涯学習課文化センター 係長 與那覇徳雄さんより
伝統工芸ヤチムンを通した「生きがい活動支援」と「サークル委託講座」の取り組み
について報告がありました。
返還軍用地跡地利用として沖縄の伝統工芸である
ヤチムン(陶芸)の窯元を招致した『やちむんの里』内に
平成6年生涯学習施設として建造された読谷村陶芸研修所があり、
①村内保育所・小中学校ヤチムン体験」
②「ヤチムンサークル活動(7サークル)」
③「高齢者学級(物作り体験)」
④「ヤチムン出前講座」を行っている。
⑤この中から陶芸研修所まで足を運べない村内の高齢者を対象に、
沖縄の伝統工芸であるヤチムンを通して、
物づくりの楽しさや喜びを感じてもらう生きがいづくりのための
「ヤチムン出前講座」が紹介された。
参加者からは「生きていて良かった(90歳)」
「楽しくて正月と盆が来るくらい楽しみ(80歳)」など好評だそう。
①サークルが積極的に受講者に関わり、
講師対受講生の構図がサークル対受講生に代わり、
互いのスキル向上や親睦の場となった
②限られた施設におけるサークル数が抑えられ有効活用が図られた
③講師への報償費(予算)が抑えられ、
サークルの自主運営により職員にゆとりが生まれた、
などが成果として挙げられていました。
まとめとして、
助言者の
鹿児島県NPO法人かごしま生涯サポートセンター理事 石塚勝郎氏より、
課題は「若者・男性」にどう公民館に入ってきてもらうか。
ニーズの開拓は公民館の非常に大きな役目。
男の為の家事・育児の講座は最近減ってきているが、引き続き必要。
・大人の為の公民館から住民の為の公民館へ変わる必要がある。
・受講者が自主講座を運営し、ゆくゆくは講師になるくらいのスキル向上をはかる
・すてき人登録のような「○○が出来ます」の人を登録。
受講者から講師となれるような仕組み作り
・人から学ぶというより、「自分で学ぶ」という姿勢
★学びたいけれど学べない人(忙しかったり、寝たきりだったり、障がいがあり来れなかったり)
や無関心(学ぶ意欲のない人)をどう開拓するか。
様々なすみずみの人が参加しているか。
来れなかった人の為に報告講座を行うことも大事である。
★地域を住みやすくするためには「行政に頼まないと出来ないこと」
「住民で出来ること」の住み分けをきっちりと行う。
地域に絶対に残してほしいもの、絶対に取り入れてほしいものの
アンケートを取ることもひとつだろう。
博多のとある地域で、新規のマンション建設案が立ち上がった地域で、
「そのマンションに入る人が必ず自治会に入る。入らない場合は住民みんなで反対します」
という約束で建設の許可をした、という例を出して
公民館がしてくれないと、誰もしてくれない。
公民館は常に、仕掛け人であってほしい。 と述べました。
印象として、第4分科会は会場からの質問や意見が思いのほか少なかったので
もう少し、この機会を生かして県内外の取り組みを
積極的に取り入れたり、交換する部分があれば良かったのではということが
課題か、と思いました。
会場は中央公民館のサークルの方の作品が並べられ、にぎやかでした。
沖縄のお菓子も準備されており、会場はあたたかい雰囲気でした。
2日目のシンポジウムは県立武道館で開催されました。
900名近い参加者だったようです。
開会式の前に那覇市立壷屋小学校児童による「組踊」がありました。
テーマを「島に根ざそう」とし、
うちな~噺家の藤木勇人氏より記念講演が行われました。
毎年全国ニュースで取り上げられる、那覇の成人式の荒れた様子の報道に触れ、
あれはほんの一面であり、その後ろからごみを拾っている若者がいることや
公民館で開催する成人席は荒れていないことなど、
そのほかにも、沖縄県のイメージとその「ホントのところ」をユーモアを交え話してくださいました。
会場入り口には、沖縄のお菓子の振る舞いコーナーがあり、
心づかいが県外からの参加者にも伝わったのではないでしょうか。
さて、
私は取材ということもあり、最後列で聞いていたのですが、
なんと、残念ながら音割れで聞き取れない部分が多かったです。。
耳に手をかざして耳をすます人が何人もいて、私もしばらくはそうしていました。
しかし、いまいち聞こえない部分は多かったのは残念です。
そのせいだけではないと思うのですが、
半分から後方の方のマナーが非常に気になりました。
途中退席者や床の音に配慮せず大きな音でうろうろする人、
携帯電話の着信音や携帯電話で話す人、
デジタルカメラのデジタル音を何度も鳴らす人など、
エッ?と思うような光景がありました。
若者を公民館に参加させたい、というようなことが多く聞かれる二日間でしたので
ちょっとこれではそんなこと言えるでしょうか・・・と。
憧れられる大人をまずは目指したい、と思いながら会場を後にしました。。
また、1日目の分科会のまとめについて、少しであっても
分かち合いの時間があれば、さらに良かったのではと思いました。